心理学のキホン

人のこころを数字にする公式「ウェーバー=フェヒナーの法則」とは

2021年3月8日

ウェーバー=フェヒナーの法則

スマホの充電が9%になっちゃった!ヤバい。
さっき10%って言ってたよね。たった1%減じゃん?
いや、この1%はデカいですよ。。
でも満タンのときの1%だったら、どう感じる?
そりゃ話がちがいますよ!

このように同じ量(1%という数量)でも、人間は状況によって感じ方が違います。

感じ方=あいまい=測定不可能。。。

18世紀の偉大な哲学者カントも、「心理学は科学にならない」と言ったほどです。

しかし、1850年頃この考えを見事にくつがえす法則がうまれました。

それが「ウェーバー=フェヒナーの法則」です。

いったいどんな法則なのでしょうか。一緒にくわしく見ていきましょう。

ウェーバーの法則

エルンスト・ヴェーバー

▲「ヴェーバー」1795- 1878(Wikipedia)

ドイツの生理学者ウェーバーは、「重さの感じ方」についてこんな実験をおこないます。

ウェーバーの重さの実験

手のひら

1、実験者の手のひらに重りをおきます。

2、ほんの少しづつ重りを増やしていきます。

3、「重たくなった!」と感じたら教えてください。

簡単にいうとそんな実験です。

実験①

最初が10gの場合(標準刺激10g)

10gのおもりを持たせる。
    ↓
(じょじょに重くしていく)
    ↓
11gになる

重たくなった!

実験②

最初が100gの場合(標準刺激100g)

100gのおもりを持たせる。
    ↓
(じょじょに重くしていく)
    ↓
110gになる

重たくなった!

結果

「重くなった!」と気づく最小の重さは、実験①は「1g」だったけど、実験②「10g増」だった。

この実験でウェーバーは、

感じる量は、新しい刺激が加わった時、もとの刺激の量に応じて変化する

ということを発見しました。

ウェーバーの法則の公式

これを数式化したものがこちらです。

ウェーバーの法則

・ΔS=丁度可知差異:違いに気づく最小差

・ S =標準刺激:もとの刺激

これが「ウェーバーの法則」と呼ばれ、心理学における世界初の数量化された法則となりました。

この公式を使えば、丁度可知差異を計算できるよね!

フェヒナーの功績

フェヒナー

▲「フェヒナー」1801-1887(Wikipedia)

さらにフェヒナーは「ウェーバーの法則」発展させます。

ちなみにフェヒナーはウェーバーのお弟子さんだよ。

「感覚の大きさ」を加えた

考える男性

ウェーバーの法則が刺激間の関係に過ぎなかったのに対し、フェヒナーはそこに「感覚の大きさ」をくわえました。

「ウェーバー=フェヒナーの法則」とは

フェヒナーが考えた数式がこちらです。

ウェーバーフェヒナーの法則

・γ=感覚の大きさ・β=刺激の強さ
・b=刺激閾・k=定数

これが「ウェーバー=フェヒナーの法則」(フェヒナーの法則)です。

ちょっと、むずかしいので詳細は割愛しますが、

感覚の大きさは刺激量ではなく、刺激量の対数に比例して知覚される。

ということを、この公式はあらわしています。

閾値の分析と測定方法

フェヒナー実験

ある現象を引き起こすのに必要な刺激の大きさを表す値を、「閾値(いきち)」といいます。

フェヒナーは、この閾値の分析を繰り返しおこないました。

そして人間が刺激を認識できる最小の刺激強度を、絶対閾(刺激閾)と呼び、強さの変化を認識できる最小の刺激強度を、弁別閾(丁度可知差異)と区別しました。

この閾値を決定するために、当時フェヒナーが考案した測定方法は、現代の心理学実験でいまだに使用されています。

まとめ

心理学の教科書

このようにウェーバーとフェヒナーは、人間の感覚が、「数値」で表現できることを示しました。

ポイントをまとめると以下の通りです。

ウェーバー=フェヒナーの法則

    ●ウェーバーの法則

  • 心理学初の数量化された法則
  • 丁度可知差異/標準刺激=定数
  • ●ウェーバー=フェヒナーの法則

  • フェヒナーが発展させた。
  • 「感覚の大きさ」をくわえた。

フェヒナーは心と身体の関係を数量で表す、「精神物理学」の創始者であり、のちの心理学に数多くの影響を与えました。

例えば心理学の創始者とされるヴントも、この法則あってこそ、といっても過言ではありません。

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以上。「ウェーバー=フェヒナーの法則」についてのお話でした。


ご参考にさせていただいた書籍



本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。

最後までお付き合いありがとうございました。

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