1879年ドイツで生まれたヴントの現代心理学は、世界の心理学の発展に影響をあたえました。
ドイツでうまれた心理学
-
-
心理学はいつはじまったのか?現代心理学の創始者「ヴント」とは。
心理学の父「ヴント」の活躍と功績をまとめました。
続きを見る
なかでも大きな流れになったのは、アメリカの心理学です。
今回はアメリカ心理学のなりたちを語るうえで重要な、
- ジェームズ「機能心理学」
- ティチナー「構成心理学」
の2つの心理学について、くわしくみていきましょう。
ウィリアム・ジェームズ

出典:William James1842-1910(Wikipedia)
ハーバード大学の心理学者ジェームズ。
ドイツの生理学や、ヴントの実験心理学に刺激をうけたジェームズは、アメリカ心理学の発展におおきく貢献しました。
1890年に完成させた『心理学原理』は彼の代表作となります。

ジェームズが提唱した「意識の流れ(Stream of consciousness)」は、アメリカ文学などにも影響をあたえました。
「意識のながれ」とは
人間の意識は、動的なイメージや観念が「流れるように連なったもの」であるとする考え。
心の機能を研究対象とした「機能心理学(機能主義的心理学)」の先駆者とされます。

エドワード・ティチナー

出典:Edward Titchener1867-1927(Wikipedia)
イギリス人であるティチナーは、ヴントの実験室への留学のあと、アメリカのコーネル大学で心理学実験室を開きます。
ティチナーは、自らの心理学を「構成心理学(構成主義的心理学)」と呼び、心の構成を研究対象としました。
基礎研究を重視し、実験をどう行うべきかをまとめたマニュアル「実験心理学」はその後の心理学実験に影響をあたえました。
なおヴントの提唱した「統覚」に反対した点など、ヴントとの相違点もまたあげられます。
構成心理学と機能心理学の関係
19世紀後半アメリカでは、ヴント心理学の意識研究は「構成心理学」と「機能心理学」の2つにわかれました。
ジェームズの「機能心理学」は、ティチナーの「構成心理学」を批判する立場をとります。
では、それぞれの考えをくわしくみていきましょう。
構成心理学とは
ティチナーは、意識をもっとも単純な要素に還元し、その要素が結合する法則を見出そうとしました。
構成心理学は「意識の構造」、「心の構成」を明らかにしようとした心理学です。
いいかえれば、「心とは何か」を理解しようとする立場といえます。
機能心理学とは

機能心理学は、意識を「水の流れのようなもの」として扱います。
意識は連続的に動いているもので、常に同じものではないという考えです。
そして心理学の目標を、「人が環境に適応するために意識がどうはたらくか?」や、「人の繁栄に意識はどうつながるか?」を理解することだとしました。

そのため機能心理学では「習慣」「注意」「記憶」などの現象をあつかい、心の機能やプロセスを明らかにしようました。
いうなれば、「心は何のためにあるのか」を理解しようとする立場といえます。
機能心理学の発展

有名な機能心理学者としては、シカゴ学派のデューイや、コロンビア学派のJ.Mキャテル、ソーンダイクなどがいます。
機能心理学は、1930年頃までにアメリカ心理学の一般的傾向として定着しました。
大きな功績として、内観が使えない子どもや動物、そして障害をもつ人に内観法以外の方法論も応用していった点がいえます。
まとめ

このように19世紀後半のアメリカでは、構成心理学と機能心理学の2つが発展していきました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
19世紀後半のアメリカ心理学
●構成心理学
●機能心理学
なお機能心理学は、「刺激と反応」を一つの機能として突き詰めて考えていくなかで、次のあらわれる行動主義につながっていきます。
以上、19世紀アメリカ心理学のはじまりにおける「構成心理学」と「機能心理学」についてのお話でした。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。
