心理学用語
扁桃体
Amygdala
海馬
hippocampus
脳は「大脳皮質」とよばれる層に覆われていて、その奥深くに「大脳辺縁系」があります。
今回は、この大脳辺縁系の中でもとくに重要な「海馬」と「扁桃体」について解説をしていきます。
海馬
海馬は、大脳辺縁系にある細長い部位で、記憶の生成にかかわるとされています。
実際に手術の過程で、海馬を除去することになったH・M氏の事例でみてみます。
除去後彼は、食べた食事のメニューなど新しく経験した出来事を記憶できなくなったそうです。
しかし、自分の名前や生活歴など過去の記憶については保持されていたそうです。
こういった症状を、「順向性健忘」といいます。
現在の研究によると、海馬は一時的な記憶の保存場所であり、必要に応じて大脳皮質に転送するとされています。

扁桃体
大脳辺縁系は情動に関わる領域ですが、その中心になっているのが、「扁桃体」です。
サルの扁桃体を除去した実験によると、例えばサルはヘビを怖がらず、ヘビをとって食べようとするそうです。


扁桃体が関与する情動とは、快・不快、怒りや恐怖、喜びなど本能的な感情と、それに伴う身体反応です。
また扁桃体が損傷されると情動表情の認知が障害されることも知られています。
まとめ~海馬と扁桃体~
以上、海馬と扁桃体についてのお話でした。
最後にポイントをまとめてみましょう。
- 海馬と偏桃体は、人間の本能的な行動を推進する大脳辺縁系の一部。
- 海馬は記憶の記銘を担う。
- 海馬が損傷すると新しい記憶が生成できなくなる。(順向性健忘)
- 扁桃体は情動の生成を担う。
- 偏桃体が損傷すると、恐怖などが生じなくなる。
- さまざまな経験は海馬によって記憶痕跡となり、その記憶痕跡を扁桃体が参照することで未来に起こる同種の危険を避けるサインとしての情動を発生させる。
以上、海馬と扁桃体についての解説でした。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。
