心理学用語
TEACCH(ティーチ)
Treatment and Education of Autistic and related Communication habdicapped Children
発達障害(神経発達症)のひとつ「自閉スペクトラム症」とは、自閉症・アスペルガー症候群などを包括した概念です。
特徴としては、「対人関係の形成の困難」、「話し言葉の遅れ」、「習慣へのこだわり」、「常同行動」がみられます。
あわせて読む
-
-
自閉スペクトラム症。「三つ組」「スペクトラム」「自閉」とは?
自閉症スペクトラムとは?
続きを見る
今日はこの自閉スペクトラム症の援助方法についてお話していきたいと思います。
自閉スペクトラム症の原因
かつて、自閉スペクトラム症は、親の不適切な養育やしつけ不足、虐待などで生じるとされていたことがありました。
しかし、現在では原因は「脳の機能障害」と考えられています。

二次的な問題が生じやすい
自閉スペクトラム症の子どもはその行動から、周囲の偏見やいじめにあう場合があります。
また親が自分のせいだと感じることで、厳しすぎる過度なしつけを行なうような場合もあります。
そうした中で生まれた処理しきれない過度なストレスは、やがて不安症、うつ病、睡眠障害などの二次的な問題を発生させる要因になります。
また、発達障害の一つである「ADHD」や「SLD」の場合も、周囲の無理解や不適切な対応から、9歳くらいから「反抗挑発症」を引き起こす場合があるとされています。
また、それにより問題行動がエスカレートして、万引きや暴力などを繰り返す「素行症」に発展するような場合もあると指摘されています。
あわせて読む
-
-
ADHDとSLDはどんな障害?の解説。求められる援助方法とは
ADHDとSLD
続きを見る

自閉スペクトラム症の支援
前述のとおり「脳の機能障害」である以上、障害を根底から改善することは難しく、薬物療法は有効ではありません。

「治る」・「治らない」という観点ではなく、暮らしやすい環境をつくり、適応力を育て、困難を軽減していくことが療養の基本となります。
なお療養の内容としては、適応行動を学習していくため「行動療法」的なアプローチが主流です。
TEACCH(ティーチ)

Eric Schopler,Digtal Commons
「TEACCH」は1960年代にエリック・ショプラーが、自閉症スペクトラムの人のために 開発した治療教育プログラムです。
TEACCHの特徴
- 自閉症スペクトラムの特性を理解。
- 家族との協力関係を重視。
- アセスメントで本人を理解。
- 能力を促進させ、困難を補う。
- 言語でなく絵で視覚的理解。
こういった点が特徴としてあげられます。
TEACCHが目指すのは、自閉症スペクトラムの人たちが一生涯、地域社会で自立した生活を送れるようにすることにあります。
エンパワーメントの視点
「エンパワーメント」とは、対人援助場面において、クライエントが自分自身で問題解決する力を失い、専門家への依存や無力感を強化することがないように、主体的な問題解決ができる力を獲得することを目指した援助のことです。
発達障害の援助においても、このエンパワーメントの視点は重要になります。
親がすべて世話をするのではなく、日常生活や身の回りのことはできるだけ自分自身で行わせることも、将来の自立のためには重要です。
まとめ
自閉スペクトラム症の原因と支援についてのお話でした。
適切な療育によって、多くの自閉症児は成人後に自分の役割を手にすることができます。
その行動特徴をむしろ利点として、たとえば集中が必要とされる作業が求められる職に就き、生活する人も多くいます。
「病気を知り、本人を知ること。」
これは、自閉スペクトラム症の支援において重要なポイントといえます。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。
