心理学用語
エディプス・コンプレックス
エディプス・コンプレックスとは、母親に対して愛着を抱くことで、父親に敵意が生じるという心理的な葛藤です。
これはフロイトの理論で性的発達段階のうち「男根期」の時期に起こるとされています。

今回はこのエディプス・コンプレックスの、
- 葛藤のプロセス
- 乗り越えて得ること
- 女の子の場合は?
の3点について詳しくお話していきます。

葛藤のプロセス

エディプス・コンプレックスは性的発達段階の「男根期」にはじまります。
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男の子の場合の発生プロセスは以下のような流れです。
葛藤のプロセス
- ペニスの存在で自分が男性であることを意識。
- 最も身近な女性=母親に「性愛感情」を抱く。
- この性愛感情を実現すべく、父親に敵意を抱き「排除」を考える。
- 同時に父親の報復を恐れる。
- 母親への性愛感情と、父親への敵意を「抑圧」する。
「去勢不安」…男の象徴ペニスを父親に奪われてしまうと思う。
このように「性愛」と「敵意」が、エディプス・コンプレックスの基本構造になっています。


なお「抑圧」とはフロイトのいう自我の防衛機制で、「局所論」でいう意識から無意識にトラウマを締め出す行為のことを言います。
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乗り越えて得ること

抑圧が起こると、性的発達段階的には男根期から「潜伏期」へと移行していきます。

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そして抑圧と同時に父親への同一視が起こり、 「父のように母を愛したい。」 そう思うようになります。
この抑圧と同一視のなかで人は大切な2つのことを形成・獲得していくとされています。
超自我の形成
この経験のなかで道徳原則にもとづく「超自我」を形成するとされています。
母親への性愛と父親への敵意を抑圧したことで、世界に道徳や規律があることを覚えていくわけですね。
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性役割の獲得
父親への同一視とは、父の持つ男らしさを自身の中に取り入れることでもあります。
この経験により、男らしさ、男性的な価値観、態度といった「性役割」を獲得するとされています。
女の子の場合は?



男児を例にあげましたが、女児の場合も基本は同じです。
女の子の葛藤プロセス
- ペニスがないことで自分が女性だと気づく。
- 最も身近な男性=父親に「性愛感情」を抱く。
- この性愛感情の実現のため、母親に敵意を抱き「排除」を考える。
- 同時に母親の報復を恐れる。
- 父親への性愛感情と、母親への敵意を「抑圧」する。
- 母親への「同一視」が起こり、「母のように父を愛したい。」と思うようになる。
➡潜伏期に移行していく。
違いとしては去勢不安が起きないことが挙げられます。
あと、ペニスがないことに気づいた時、女児は劣等感を抱き、ペニスを与えなかった母を恨み、父に憧れると考えられています。
なおユングは、この区別のために女児の葛藤を「エレクトラ・コンプレックス」と名付けました。
まとめ



精神分析の祖とされるフロイトですが、当時から内外からの批判も多くそのことが、逆にのちの精神分析を発展をさせていきました。
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フロイトも幼児性欲は無意識と仮定しているので、確証も反証も難しいであろうこの説。
とはいえ、とても有名な心理学の理論であることは間違いありません。
心理学の基礎知識として、そのプロセスと意義をしっかり覚えておきましょう。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。
