心理学用語
防衛機制
受け入れがたい不快な記憶や感情を、意識から無意識に「閉じ込める」ことをフロイトは「抑圧」と呼びました。


その後フロイトの娘、アンナ・フロイトがこのネガティブなことから、無意識に自我を守るいろんな手段を、
「防衛機制」
という言葉を用いて整理し体系化しました。

今回は「抑圧」以外の代表的な9つの防衛機制、
代表的な防衛機制
- 反動形成
- 投射(投影)
- 同一化(同一視)
- 合理化
- 知性化
- 退行
- 否認(否定)
- 昇華
- 補償
について、出来るだけシンプルにわかりやすく解説していきたいと思います。
反動形成
「反動形成」とは、
抑圧した欲望や想いが、言葉や行動として現れるのを防ぐために、正反対の行動をとること
です。
たとえば…
●ホントはお酒が飲みたいのに、逆にお酒を飲むのを強く否定して、欲求が表に出てくるのを阻止している。
●強い関心があるのに、まるで無関心を装う。
投射(投影)
「投射(投影)」とは、
抑圧した受け入れがたい感情や観念を、他者が持っていると捉え、責任を転嫁すること
です。
たとえば…
●自分が母親を嫌っているのに、母親が自分を嫌っていると感じる。
●自分が相手に性的な欲求を感じているのに、相手が自分を誘惑していると感じる。

同一化(同一視)
「同一化(同一視)」とは、
受け入れがたい現実や叶えられない現実を満たすために、誰かの真似をすること
です。
たとえば…
●母親を異性として愛することはできないと知った男児が、父親のようになりたいと思う。

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合理化
「合理化」とは
自分の行動に合理的な理由を見つけ出すこと。
です。
論理的思考の結果であるかのように見せかけ、自分の正当化をおこないます。
たとえば…
●高い場所にあるブドウを取れないキツネが「あのブドウは酸っぱくてまずい」といって立ち去る。

知性化
「知性化」とは、
不安をひきおこす感情を、過度な知的活動によってコントロールしようとすること。
です。
ある程度の知的な発達が必要なので、性的衝動や攻撃性が高まる青年期によく見られるとされています。
たとえば…
●ガンを宣告された人が病気の不安から逃れるために病気に関する医学的知識を求める。
●恋愛に悩む青年が、現実の問題に対処することなく抽象的な恋愛論を展開させること。
退行
「退行」とは、
今よりも未発達な状態や幼い状態にもどることで、葛藤や困難から逃れること
です。
たとえば…
●弟が生まれた後にお兄ちゃんがおもらしをする。
●弟が生まれた後にお姉ちゃんが指しゃぶりをはじめる。

否認(否定)
「否認(否定)」とは、
受け入れられぬ現実を否定して認めず、拒否することで自我を守ること
です。
たとえば…
●息子が戦死したことに対し、両親がその事実を認めようとしないこと。

昇華
「昇華」とは、
社会的に容認されない欲求を、社会的に容認されるもので表現すること
です。
なお昇華は、善悪の判断を司る超自我の形成が前提とされていて、成功的防衛(適応的な防衛)ともとらえることができます。
たとえば…
●はげしい攻撃性をスポーツやゲームによって発散する。
●性的な欲求を芸術活動によって表現する。

補償
「補償」とは、
自らの弱点を何らかの形で補うことで、劣等感を克服しようとすること
です。

アドラーは人は誰しも劣等感をもっていて、それを補償するために無意識のうちに様々な試みをおこなうと考えました。
たとえば…
●勉強が苦手な子が運動で頑張る。
まとめ~防衛機制とは~
防衛機制(defense mechanism)を200字程度にまとめると、こんな感じになります。
防衛機制とは?
危険が迫った時、衝動を満足できない時など、人は不快な感情が引き起こされた際、無意識に何とか自我を守ろうとする。この自我を守るためのさまざまな手段を「防衛機制」という。基本となる防衛機制はフロイトの「抑圧」であり、不快な感情を意識から無意識に閉じ込めてしまうことである。それ以外にも反動形成・投射・同一化・合理化・知性化・退行・否認・昇華・補償などがある。これらをフロイトの娘アンナは整理、体系化した。
なお今回紹介したもの以外にもたくさんの防衛機制が存在します。

しかしながら不安が慢性化したりすると、特定の防衛機制への固執のせいで病理的な状態におちいることがあるとされています。


以上、本日は防衛機制についてのお話でした。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。
