心理学用語
schizophrenia
統合失調症
「統合失調症」は、考え・気持ち・行動などがうまくまとまらなくなる精神疾患です。
思春期~40歳くらいまでが発症しやすく、およそ100人に1人が発症すると言われています。
以前は、「精神分裂病」と呼ばれ不治の病とされましたが、現在は薬や心理社会的介入によって約半数近くは回復できるとも言われています。
今日はこの「統合失調症」をよく理解するために、
この記事でわかること
- 統合失調症の症状
- 統合失調症の原因
- 統合失調症に求められる援助
について一緒に考えてみましょう。
統合失調症の症状
統合失調症には以下の3つの症状があります。
- 陽性症状
- 陰性症状
- 解体症状
陽性症状
「陽性症状」では、妄想・幻想などがみられます。
発症初期の”急性期”に多く見られ、機能の過剰・歪みが主な特徴です。
陰性症状
「陰性症状」では、意欲の喪失・感情の平板化(へいばんか)などがみられます。
活動性の欠如と行動欠損が主な特徴です。
急性期のあとに訪れる”慢性期”に多くみられます。
解体症状
「解体症状」では、まとまりのない(=解体した)会話や行動がみられます。
聞き手が理解できるように話すことが困難になります。
統合失調症の原因
統合失調症の原因はいまだ特定されておらず、さまざまな要因が絡み合って発症にいたると考えられています。
二重拘束説
「二重拘束説」は、逃れられない矛盾するメッセージを突きつけられることにより発症するという説です。
脆弱性ストレスモデル
「脆弱性ストレスモデル」とは、遺伝的にもつ中枢神経の脆弱性に過度なストレスが加わることにより発症するという説です。
ドーパミン仮説
「ドーパミン仮説」とは、神経伝達物質のドーパミンの過剰分泌によって発症するという説です。
統合失調症に求められる援助とは?
統合失調症に求められる援助は症状や時期によって異なります。
- 陽性症状が中心となる急性期は、
”薬物”や”入院”による鎮静が重視。 - 陰性症状が中心となる慢性期は、
”SST”や”家族への心理教育”などを重視。社会復帰に向けた社会的リハビリが中心。
DSM-5における統合失調症
最後に、精神疾患の分類と診断のマニュアル最新版「DSM-5」での統合失調症の扱いについても確認しておきましょう。
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DSMをわかりやすく解説。DSM以前の診断やICDとの違い。
DSMについての解説
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3つの下位分類が削除
以前はあった以下の下位分類がDSM-5から削除・統合されました。
DSM-5から削除・統合
- 陽性症状が主体の妄想型。
- 陰性症状が主体の解体型(破瓜型)。
- 強い緊張などの運動・異常行動が主体の緊張型。
統合失調症の位置づけ
DSM-5から、統合失調症は「統合失調症スペクトラム障害」の中に位置づけられました。
これは統合失調症に近い症状の者も、あるいは限定的な症状(妄想性障害など)の者も、程度が違えど一連の連続体(スペクトラム)を形成しているという考えに基づきます。
統合失調症はスペクトラムの中で最も重度な症状とされています。
参考:高橋三郎・大野裕監訳
「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」
まとめ~統合失調症~
最後にもう一度「統合失調症」のポイントをまとめます。
統合失調症のポイント
統合失調症とは、
- 考え・思い等がまとまらなくなる精神疾患
3つの主な症状は、
- 陽性症状:妄想、幻想
- 陰性症状:意欲喪失、感情の平板化
- 解体症状:解体した会話・行動
統合失調症の原因は、
- 未だ特定されてはいない。
- 様々な要因が絡み合って発症する。
代表的な仮説は、
- 二重拘束説
- 脆弱性ストレスモデル
- ドーパミン仮説
統合失調症の援助は、
- 陽性症状(急性期)⇒薬・入院
- 陰性症状(慢性期)⇒SST・家族への心理教育。社会復帰を援助
以上、「統合失調症」についての解説でした。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。