心理学のキホン

摂食障害の解説。DSMにある摂食障害群についての説明・まとめ

摂食障害

心理学用語

摂食障害
eating disorder

摂食とは「食べること」です。

つまり「摂食障害」とは、「異常な食行動」を示す障害です。

原因の多くはボディ・イメージへの歪みによるもので、いわゆる「過食症」、「拒食症」などがこれにあたります。

でも過食と拒食って正反対だよね。
表裏一体の関係で根底は同じとされているんだ。
へー

今回はこの「摂食障害」を理解するために、

この記事でわかること

  • 摂食障害とは?(DSM-5)
  • 神経性やせ症
  • 神経性過食症
  • 過食性障害
  • その他の摂食障害
  • 摂食障害の心理検査
  • 摂食障害の心理療法

を解説していきたいと思います。


摂食障害群とは

摂食に関する障害は、DSM-5では「食行動障害および摂食障害群」として1つのカテゴリーにまとめられています。

「食行動障害および摂食障害群」に含まれる疾患としては、神経性やせ症・神経性過食症・過食障害などがあります。

他にも、異食症・反芻症・回避・制限性食物摂取症などもあるよ。


神経性やせ症

神経性やせ症(神経性無食欲症)」とは、体重増加への恐怖やボディ・イメージへの歪みから、極端にやせても、さらにやせたいという願望を抱く疾患です。

アノレクシアとも呼ばれているよ。

必要以上にカロリー摂取を制限し、絶食をおこなったり、過剰な運動をおこなったりします。

隠れ食いや、大食をして下痢や嘔吐で低体重を維持しようとする「過食・排出型」と、大食や排出は伴わない「摂食制限型」に分類されます。

「過食・排出型」は精神的な負担も強く自殺願望をいだく場合もあるんだ。

神経性やせ症では、自分が病気であるという意識(病識)は薄いため、疲れやすさ低血圧などの身体の不調が体重減少に起因していることに気づけないことが多くあります。

なお体重の診断基準として、DSM-5では期待される最低体重(有意に低い体重)を下回る場合とされており(BMI17.0以下)、ICD-10では平均より15%以上下回る場合(BMI-17.5以下)とされています。


神経性過食症

神経性過食症(神経性大食症)」は、明らかに大量に食べ、また食べ始めると食べるのことがやめられない、種類や量を抑制できないという感覚があるのが特徴です。

さらに食べ過ぎたあと、自ら嘔吐を試みたり下剤、浣腸などを使用し体重の増加を防ごうとします。

神経性過食症は、「過食」に「排出行動」を伴います。
だから体重は正常の範疇である場合が多い。

過食や排出行動は、それを行ってしまったことに対する自己嫌悪を生じさせ、うつ病や不安症、最悪の場合は自殺を招くこともあります。


過食性障害

過食性障害」は、明らかに大量に食べ、また食べ始めると食べるのことがやめられない、種類や量を抑制できないという感覚があるという点では、神経性過食症と同じですが嘔吐や下剤の使用などの排出行動を伴わないという点が違います。

過食性障害は、「過食」に「排出行動」を伴わないんだね。
そのため体重は正常か過体重な人がおおいんだ。

それ以外の特徴としては、

  • 食べるのが異常に早い
  • 満腹で苦しくなるまで食べる
  • 空腹じゃないのに大量に食べる
  • 恥ずかしいので一人で食べる
  • あとになって自己嫌悪・罪悪感

が挙げられます。

過食症は「ブリミア」とも呼ばれているよ。


その他の摂食障害

DSM-5で「食行動障害および摂食障害群」に含まれる、その他の疾患についても簡単に解説しておきます。


異食症
1ヶ月以上にわたって、栄養のない非食物を食べてしまう障害。

(土・紙・粘土・毛・木炭・チョーク・氷など。)

反芻症(反芻性障害)
1ヶ月以上にわたって、食べ物を吐き戻しては咀嚼して、再度飲み込んだりを繰り返す障害。医学的疾患によるものではない。

回避・制限性食物摂取症
食べることを拒否したり、無関心だったりすることで、体重減少や栄養不足などに陥る障害。



摂食障害の心理検査

摂食障害の心理検査はいくつかありますが、そのうち「EAT-26」は、神経性やせ症の摂食態度や食行動について評価しようとする質問紙検査です。

しかし、「EAT-26」は過食についての質問項目に乏しい部分があります。

26?

尺度の項目数が26個あるんだ。

また、8つの尺度で神経性やせ症や神経性過食症を包括的に評価しようと試みる「EDI(Eating Disorder Inventory)」という質問紙もあります。


摂食障害の心理療法

摂食障害では、家族療法、対人関係療法、認知行動療法などの心理療法が用いられます。

ただし、これらの心理療法は「過食」に対しては効果が出やすく、「拒食」には効果が出にくいという傾向がみられます。


家族療法

必ずしも家族が原因とは考えず、家族の方々に摂食障害への理解とサポートをしてもらえるように環境を整備し、家族内コミュニケーションを変化させていきます。


対人関係療法

重要な他者とのコミュニケーションのパターンを変化させるために、あらかじめ定められたセッション回数で行います。

対人関係が変わることで不適切な摂食行動をとらずに済むようになっていきます。


認知行動療法

摂食障害に特有の「食事、ボディイメージ、対人関係」などにおける認知の修正を試みて、行動を変容させていきます。


まとめ

最後にもう一度「摂食障害」のポイントをまとめます。

摂食障害まとめ

摂食障害とは、

  • ボディ・イメージへの歪みと、異常な食行動を示す疾患。

摂食障害群

  • 神経性やせ症(神経性無食欲症)
  • 神経性過食症(神経性大食症)
  • 過食性障害
  • など・・・

摂食障害の心理検査

  • EAT-26
  • EDI
  • など・・・

摂食障害の心理療法

  • 家族療法、対人関係療法、認知行動療法などの心理療法が用いられる。

以上、「摂食障害」についての解説でした。

ご参考にさせていただいた書籍


本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。

最後までお付き合いありがとうございました。

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