心理学用語
自閉スペクトラム症
autism spectrum disoeder
DSM-5では、「自閉スペクトラム症」は神経発達症群(発達障害)のなかに含まれる一つのカテゴリーです。
頭文字をとって「ASD」と略されることもあります。
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今日はこの自閉スペクトラム症の特徴について一緒に勉強していきましょう。
ウイング

Lorna Wing、出典:Wikipedia
「自閉スペクトラム(autism spectrum)」という概念は、ウイングが提唱したものです。
ウイングは3つの特徴「三つ組」が「程度の違いこそあれ全て存在していること」を、自閉スペクトラムの定義としました。
ウイングの「三つ組」
- 社会的相互作用の障害
- コミュニケーションの障害
- 想像力の障害
=社会的な対人関係を築きにくい。
・他人と目を合わせられない。
・情緒的相互性の欠如。
=他人とコミュニケーションを取りにくい。
・話し言葉の遅れ。
・言葉を覚えるのが困難。
・会話を開始し継続することの困難さ。
=活動や興味の範囲が狭くこだわりが強い。
・習慣へのこだわり。
・常同行動(同じ遊びや行動を続けること)

DSM-5では診断基準は2つ
一方、DSM-5では、自閉スペクトラム症の診断基準は以下の「2つ」とされています。


DSM-5での2つの診断基準
- 社会的コミュニケーションおよび対人相互反応における持続的な欠陥
- 行動、興味、または活動の限定された反復的な行動様式
この2点がDSM-5では定義されています。
スペクトラムという概念
ウイングは、自閉症、アスペルガー症候群など広汎性発達障害と分類されているものを大きな枠組みでとらえ「スペクトラム」であるとしました。
スペクトラムとは、障害を明確に分けて区別するのではなく、色でいうグラデーションのように、それぞれが連続した状態であるということを表しています。

自閉という言葉って適切か?
最後に「自閉」という言葉について。
信州大学医学部の本田先生によると、「閉」の文字があることによって、「暗い性格」という誤解、きわめて深刻で重い病気であるようなイメージを抱く人が多いという問題があるそうです。
”自閉スペクトラム症の人は性格が暗いわけでもないし、人を避けるわけでもない。本来のどちらかというと裏表のないサバサバとした性格”
実際「autism」の日本語訳の「閉じる」「内閉」的なニュアンスは、私がお仕事などでお会いした自閉症といわれる人と比べるとアンマッチな気がします
さらに本田先生はこんな風にも語っておられました。
”そろそろ「自閉」という言葉に代わる別のよい日本語がないだろうか、と折に触れて頭を悩ませているところである。”
気になる方はこちらの記事も参考にしてみてください。
参考文献
引用:本田秀夫,「自閉」という言葉の由来と概念の変遷,信州医誌 Vol. 66
まとめ~自閉スペクトラム症~

今日は自閉スペクトラム症を知る上で必要なことを見ていきました。
おさらいするとポイントは以下です。
自閉スペクトラム症
- 自閉スペクトラムはウイングの概念
- ウイングの三つ組
- 定義は程度の差はあれ3つの特徴が全て存在
- スペクトラムとは連続した状態
- 診断名だけで判断しないという姿勢
- DSM-5での診断基準は2つ
- 「自閉」という言葉の課題
次回は、DSM-5で自閉スペクトラム症に変化した、「広汎性発達障害」について勉強していきたいと思います。
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