心理学のキホン

質問紙法をつかう心理検査のメリットとデメリット&代表的なもの

2021年9月20日

質問紙法メリットデメリット

心理学用語

questionnaire method
質問紙法

質問紙法」とは、あらかじめ用意された質問に回答してもらうことによってデータを得る方法です。

その前にちょっとおさらい!

心理アセスメント(査定)には、3つの方法があります。何でしょう?

面接法と観察法、あと心理検査法です。
正解!

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今回は、この「心理検査法」のなかの一つである「質問紙法」がテーマとなります。

質問紙とは、「はい」「いいえ」とか「あてはまる」「あてはまらない」とかを選んでいくもので、

アンケートみたいなやつだね。

ご存じのように、いろんな領域で使われています。

今回はこの質問紙法の、


  • メリットとデメリット
  • 代表的な質問紙性格検査7選

をご説明していきます。


質問紙法のメリット

質問紙法のメリット

質問紙のメリットをまずは考えてみましょう。


客観的な解釈が可能

質問紙を使えば客観的な解釈が可能です。

例えば「はい」を2、「どちらともいえない」を1、「いいえ」を0と数量化すれば、統計的処理が可能になるからです。

検査者の主観は入りにくいし、統計の結果なら信頼性も高いよね。


集団実施が可能

質問紙法-集団実施

質問紙なら、たくさんの人に配って同時に実施することが可能です。

書いたら集めまーす!


熟練に左右されにくい

質問紙法はマニュアル化されており、検査者の熟練によって結果が左右されにくいというメリットもあります。

では、これから回答の方法を読み上げまーす。


質問紙法のデメリット

質問紙法のデメリット

質問紙法には欠点もあります。デメリットもしっかり押さえておきましょう。


無意識なことは分からない


局所論「無意識」

質問紙法は「自分のことをどう思っているか」をもとに回答するため、自分の知らない自分、つまり無意識的な側面は反映されにくいというデメリットがあります。

あくまでも意識している自分の姿が反映されるってことだね。


回答の歪みが生じやすい


質問紙法では、自分をよく見せようとしたり、社会的に望ましい回答を選んでしまったりと、回答の歪み(バイアス)が生じる可能性があります。

そもそも「意識している自分」が現実の自分と一致してるって言いきれないよね。


言語能力に依存してしまう

当たり前だけど、質問項目を正しく読みとることが出来なければ、適切な回答をすることができないという欠点があります。

そのため、一定の言語能力が必要な検査であるといえます。

幼児だとちょっと厳しいとか、対象範囲は狭まるよね。


代表的な質問紙性格検査7選

代表的な質問紙検査

心理学で用いられる質問紙性格検査はたくさんあります。

今回は院試でよく出る代表的な質問紙検査、

  1. MMPI
  2. YG性格検査
  3. MPI
  4. EPPS
  5. MAS
  6. STAI
  7. BDI

この7つの性格検査ご紹介していきます。

「MMPI」と「YG性格検査」はとくに重要な検査なのでしっかり覚えておこう!


MMPI ミネソタ多面的人格目録


MMPI(ミネソタ多面人格目録)」はハザウェイマッキンレイによって作られた質問紙法性格検査です。

550の質問項目・10の臨床尺度(抑うつ、ヒステリーなど)・4つの妥当性尺度」で構成されています。

妥当性尺度とは、回答の歪みや虚偽・脚色がないか等をチェックするものだよ。

質問項目は、健常者と精神疾患をもつ者の間で有意差が認められたもので構成されています。

スクリーニング検査として、とても有効だよ。

一方、デメリットは質問項目が非常に多く、すごく時間がかかる点です。

げー550問って、、多過ぎるわ。。


YG性格検査


YGとは「矢田部-ギルフォード」の略。

ギルフォードが作った性格検査を、矢田部達郎が日本人用に標準化したものです。

一緒につくったわけではないよ。

YG性格検査は、12の性格特性からなり、各10問、合計120問の質問項目で構成されています。

また検査の結果から、5つの類型(ABCDEタイプ)に分類することも可能です。

日本で最も多く使われている検査なんだよ。

しかし、MMPIのように妥当性尺度がないため、回答の歪みを判断できないことが欠点といえます。

妥当性に問題があるのがYGのデメリット。


MPI モーズレイ人格目録


MPI(モーズレイ人格目録)は、アイゼンクが開発した質問紙性格検査。

モーズレイっていうのは病院の名前だよ。

80の質問項目で構成されており、情緒安定性である「神経症傾向」と社会性である「外向性-内向性」の2つの性格特性を測定することができます。

回答の歪みを判断する「虚偽尺度」があるのが特徴です。


EPPS


EPPSは、エドワーズが開発した質問紙法性格検査です。

Edwards Personal Preference ScheduleでEPPSだよ。

15種類の欲求の強さが測定できます。

回答は「はい」・「いいえ」ではなく、社会的な望ましさが同程度の2つの文章からどちらかを選んで進めていく形式になっています。

例えばこんな質問

  • A:他の人がびっくりするような大胆なことがしたい。
  • B:他人が考えることを分析してみたい。
  • ➡A/Bどちらかを選ばなければならない。


    どちらかを強制的に選択することで、回答者の欲求を明らかにしていきます。


    MAS 顕在性不安検査


    MAS(顕在性不安検査)テイラーが開発した質問紙法検査です。

    Manifest Anxiety Scaleの頭文字で、Anxietyは不安、Manifest現れる 顕在化するって意味だよ。

    MMPI(ミネソタ多面的人格目録)から「不安」に関する質問を抽出して作成された検査です。

    日本版は不安尺度50項目と虚偽尺度15項目で構成されています。

    550は正直多すぎるもんね。。。


    STAI 状態-特性不安検査


    STAI(状態-特性不安検査)は、スピルバーガーが開発した質問紙検査です。

    状態不安」と「特性不安」が20項目ずつ、合計40項目で構成されています。


    BDI ベック抑うつ質問紙


    BDI(ベック抑うつ質問紙)ベックが開発した質問紙検査です。

    21の質問項目で構成されていて「抑うつの程度」を測定するための質問紙となっています。

    ちなみに抑うつ質問紙は他にSDS、CES-D,GSDなどがあるよ。


    まとめ~質問紙法~

    質問紙法のまとめ

    最後に「質問紙法」のポイントをまとめてみます。

    質問紙法のポイントまとめ

    • あらかじめ用意した質問に回答してもらう。
    • 性格検査がやりやすい。
    • 統計的な解釈ができ客観性が高い。
    • 大人数に実施できる。
    • マニュアル化→熟練に左右されない。
    • 無意識的側面はとらえられない。
    • 自己内省の回答なので歪みが生じうる。
    • 代表的な検査はMMPI・YG性格検査などがある。

    以上、アセスメントの心理検査法のひとつ、「質問紙法」のお話でした。

    ご参考にさせていただいた書籍



    本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。

    最後までお付き合いありがとうございました。

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