心理学用語
投影法
投影法(投映法)では、「あいまいな刺激」に「自由な反応」をしてもらいます。
投影法の手順
●絵を見せる↓



●何枚か見せて結果を分析。
このように投影法は、自由度が高く正誤や優劣が付けづらい課題をつかって、性格特徴を把握しようとする検査です。
なお、投影法は以前お話した心理アセスメント(査定)のツール一つという位置づけです。
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今回は「投影法」を理解するために、
投影法
- メリットとデメリット
- 代表的な投影法検査4選
をご説明していきます。
投影法のメリット

まず投影法のメリットをまずは考えてみましょう。
無意識なこともわかる

投影法で得られる自由な反応には無意識的側面が反映されやすくなります。

回答の歪みが生じにくい

投影法の課題は、それにどんな意味があるのかよく分からないので、なるべくよく見せようとしたり虚偽や誇張をすることが難しいのが特徴です。
つまり、検査の意図が読み取られにくく、回答のバイアスが生じにくいのも投影法のメリットです。

投影法のデメリット

次は投影法のデメリットを考えてみましょう。
主観的な解釈になりがち

投影法は自由な反応を読み解いていくため、どうしても解釈に検査者の主観が入ります。
また検査者によっての解釈の違いも生じやすくなります。

集団実施がむずかしい

投影法は1対1で行うことが多いため、集団実施がむずかしいというのも、デメリットといえます。

検査者の熟練が必要

投影法の結果は検査者の実施・解釈によって左右される可能性が往々にしてあります。
そのため投影法は、検査者の熟練が必要だといえます。

被験者にとって負担大

投影法では、課題で何を測られているかわからないので被験者は不安になってしまうという欠点があります。
また選択肢でなく自由な回答を求められるという点でも心理的な負担が大きいと言えます。

言語能力がある程度必要
投影法では反応を報告してもらうことが多いため、一定の言語能力が必要といえます。
ただし、描画法(描画投影法)を用いることでこのデメリットはカバーすることができます。

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代表的な投影法検査4選

今回は院試でもよく出る代表的な投影法検査、
投影法 4選
- ロールシャッハ・テスト
- TAT(主題統覚検査)
- P-Fスタディ
- SCT(文章完成法)
この4つをご紹介していきます。
ロールシャッハ・テスト

ロールシャッハ・テストはスイスの精神科医、ロールシャッハが開発した検査。
インクのしみ(インク・ブロット)が何に見えるかを答えてもらい、その反応内容を分析します。
検査では、白黒5枚、カラー5枚の図版を使用します。
判断方法は、日本では「片口法」が主流でしたが、最近では「包括システム(エクスナー法)」も普及してきています。
TAT(主題統覚検査)

「TAT(主題統覚検査)」は、マレーとモーガンが開発した投影法検査です。
検査では、カードに書いてある絵から物語を創作してもらうという方法で行います。
TATはマレーが提唱した「欲求-圧力理論」に基づいていて、
マレーの欲求-圧力理論
- 主人公の行動=欲求
- 周囲の出来事=環境からの圧力
このように解釈します。
図版30枚と白紙1枚の計31枚からなり、被験者に応じて図版を使い分けます。
子ども用のCAT・高齢者用のSATが存在します。

P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)

「P-Fスタディ」は、ローゼンツァイクが開発した投影法検査です。
Pはピクチャー、Fはフラストレーションの頭文字で、「絵」で「欲求不満耐性」を測定する検査になります。
やり方は、欲求不満の場面が書かれたマンガのような絵の吹き出しに、セリフを書き入れてもらい、それを分析します。
欲求不満の場面のイメージ


絵は全部で24枚です。

SCT(文章完成法)

「SCT(文章完成法)」では、「わたしは子どもの頃…」みたいな未完成な文章の後半を自由につくってもらう方法で検査をおこないます。
文章理解と作文能力が必要なので、児童以上に用いられます。
投影法でありながら意識的側面が反映されやすいため、回答の歪みも生じやすいというデメリットがあります。
反面、前意識レベルを明らかにする検査であることはメリットです。

まとめ~投影法~

最後に、投影法のポイントをまとめてみます。
投影法まとめ
▼検査の概要
▼メリット
▼デメリット
▼代表的な検査
なお、投影法と質問紙法は互いに欠点を補い合ってくれるので、テストバッテリーとしてよく用いられます。
以上、投影法についての解説でした。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。
