心理学のキホン

ADHDとSLDはどんな障害?の解説。求められる援助方法とは

ADHD

心理学用語


注意欠如・多動症
attention deficit hyperactivity disorder(ADHD)

限局性学習症
specific learning disorder(SLD)

発達障害(神経発達症)には、いくつかの障害が含まれます。

そのなかでも、全体的な能力・機能は年齢相応であるにも関わらず、たとえば読み書き・運動などの部分的な遅れが見られる障害を、「特異的発達障害」といいます。

その代表的な障害が、「SLD(限局性学習症)」と「ADHD(注意欠如・多動症)」です。

研究によると男子に多く、また他の発達障害とおなじで脳の機能障害が推測されています。

というわけで今回は、

  1. SLD(限局性学習症)
  2. ADHD(注意欠如・多動症)

について一緒に勉強していきましょう。


SLD(限局性学習症)

SLD(限局性学習症)」とは、かつては学習障害(LD)と呼ばれていた障害です。

全般的な知能の遅れはなく平均的なIQにも関わらず、読む・書く・話す・聞く・計算するなど、「特定の学習能力に著しい困難を示す」症状です。

限局〘名〙 範囲を限ること。

そのため、「読めるが書けない」、「書けるが話せない」ということが起こります。


ADHD(注意欠如・多動症)

ADHD(注意欠如・多動症)」は、

  1. 不注意
  2. 多動性・衝動性

という2つの特徴が、同年齢の子どもと比較して顕著にみられるという障害です。

多動と衝動をわけて3つとする場合もあるが、DSM-5では上記の2特徴。

12歳以前より見られ、複数の状況で存在し、社会生活で支障が生じている場合に診断されます。

落ち着いて座っていることが困難だったり、手足をそわそわ動かしたり、衝動的に大声をあげたりといった行動がみられます。


ADHDとSLDへの援助方法

行動療法を用いて適応行動を学習させていくことが推奨されています。

でも、まずしっかりと本人の状況に寄り添う必要がある。

ADHDやSLDの子どもは、一般的に「できて当然」と思われる行為に困難を示すため、日常的に失敗体験が多く、そのため劣等感を抱きやすくなります。

また、学校など集団生活になじめず、中にはいじめを経験する子どももいます。

にもかかわらず、親や教師など周囲の人に正しく把握されないと、甘え・わがまま・努力不足のように受け取られてしまいがちです。

そのため親への心理教育や、教師へのコンサルテーションによって、十分な理解を得る必要があります。

学校の特別支援教室なども最大限に活用していくこともできます。

こうして子どもが多方面から支援され、過ごしやすい環境を整えていくことができれば、症状やその劣等感を和らげ、適応を促すことができるのです。

なお、ADHDには多動や衝動性を抑えるメチル・フェニデートなど薬物療法が用いられることもありますが、副作用の症例もあり慎重な処方が求められます。


ADHDの二次的な障害

ADHDやSLDが周囲からの理解を得られなかった場合、二次的な障害が生じることがあります。

反抗挑発症」は、周囲に対して挑発的で、反抗的な行動を当然のごとく行ってしまう症状です。

ADHDの子どもの中には、周囲の無理解や不適切な対応から、9歳ころからこの反抗挑発症を併発する場合があると言われています

また、問題行動がエスカレートすると、万引きや過度な暴力を繰り返す「素行症(素行障害・行動障害)」に発展するおそれがあります。

これらの状況をみても、適切な療育と環境調整が求められることがいえます。


まとめ~SLD・ADHD~

以上がSLD・ADHDについてのお話でした。

最後にポイントをまとめてみましょう。

ADHD・SLDのポイント

ADHD・SLDは、

  • 発達障害のひとつ
  • SLD=限局性学習症
  • ADHD=注意欠如・多動症


SLDとは、

  • 知的能力は平均的だが、読み書きなどに困難


ADHDとは、

  • 特徴は2つ
  • 「不注意」
  • 「多動性・衝動性」
  • 周囲に誤解されやすい
  • 二次的な障害も生じやすい
  • 周囲への理解を仰ぐ支援必要

以上、ADHDとSLDについての解説でした。

ご参考にさせていただいた書籍


本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。

最後までお付き合いありがとうございました。

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