19世紀。ヴントは心理学を一つの学問として確立させました。
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しかし、19世紀の心理学はあくまでも「意識」を中心とした心の理解。次第にとらえきれない現象も報告されます。
そんな時期にうまれた、
- ゲシュタルト心理学
- 精神分析学
- 行動主義心理学
の3つは、19世紀へのアンチテーゼとして、20世紀の3大潮流に成長していきました。
今回は、この3つの心理学の、
- はじまり(論文・本)
- いつ(発表された年)
- どこで(国)
- だれが (著者)
- どんな内容(19世紀との違い)
を手がかりに、その「なりたち」をいっしょに確認してみましょう。
ゲシュタルト心理学
- 論文『運動視の実験的研究』
- 1912年
- ドイツ
- マックス・ヴェルトハイマー
- 要素よりも「全体性」を重視
1912年『運動視の実験的研究』の発表はゲシュタルト心理学の発端とされます。
ヴェルトハイマーはこの論文のなかで「仮現運動」を提唱します。
踏切はただランプが交互に光っているだけなのに、光は「右左右左右・・・」と、まるで左右に動いているように感じます。
これが仮現運動です。
いってみれば、「人は物理的運動が生じていないのに、運動を知覚している」ということがいえます。
これは、人が刺激を単純に知覚しようとする傾向があるためで、ヴェルトハイマーはこれを「プレグナンツの法則」としました。
ゲシュタルト心理学は19世紀にあった要素研究ではなく、「全体」で心を理解しようとしたのでした。
精神分析学
- 書籍『ヒステリー研究』
- 1895年
- オーストリア
- ジークムント・フロイト
- 意識よりも無意識を重視
精神分析的な研究はフロイト(とブロイアー)が書いた「ヒステリー研究」(1895)が端緒とされます。
この本では、「抑圧された考えを言語化することで病気を改善する方法」などが語られました。
さらに「精神分析」という言葉をはじめて使った翌年の論文では、「自由連想法」を紹介します。
自由連想法とは、心に浮かぶままの自由な考えを連想していく発想法で、潜在意識つまり無意識から心理的抑圧を解明しようとしました。
フロイトのもとにはアドラーやユングも集まり(のちに離反)、それぞれ独自の心理学を発展していきます。
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それまでの意識の研究とはちがい「無意識」を理解しようとした精神分析学は、20世紀に心の臨床という分野を切り開いていきました。
行動主義心理学
- 論文「行動主義者のみた心理学」
- 1913年
- アメリカ
- ジョン・ワトソン
- 主観(内観)ではなく客観を重視。
1913年発表の「行動主義のみた心理学」は行動主義宣言ともとれるようなワトソンの論文です。
行動主義とは
心理学が科学であるためには客観的なものでなければならず、意識を内観する方法は間違いである。刺激と反応の関係をあきらかにして、行動を予知できるような法則をみつける必要がある。
とする考えで「意識なき心理学」ともいわれました。
パブロフの条件づけに影響をうけておこなった「アルバート坊やの実験」が有名です。
出典:Little Albert experiment 1920(Wikipedia)
しかし、人間を機械のようにあつかうことなどで批判をうけ、1930年代には新しい「新行動主義」がうまれ発展し、のちの認知心理学にもつながっていきます。
このように、行動主義は19世紀の主観的な内観をやめて、客観を重視した心理学として20世紀に大きな流れとなったのでした。
まとめ
19世紀の心理学への批判が20世紀にあたらしい心理学を生み、それが大きな流れとなりました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
20世紀3大潮流のポイント
ゲシュタルト心理学
- 心を要素でなく全体でとらえる。
- ヴェルトハイマーが創始者。
- 仮現運動を発見。
- プレグナンツの法則を提唱
精神分析学
- 心を意識でなく無意識でとらえる。
- フロイトが創始者。
- 自由連想法を提唱。
- 心理臨床に多大なる貢献。
行動主義心理学
- 心を内観ではなく客観でとらえる。
- ワトソンが創始者。
- アルバート坊やの実験が有名。
- 批判から「新行動主義」発展。
哲学でも古くから行われていた心の探求。
19世紀にはじまった科学的なアプローチは、それをさらに加速させました。
そして20世紀。
3つの心理学のように、探求は無意識の世界に足を踏みいれていきます。
その後の心理学も技術の進歩とともにさらに発展しますが、それはまた別の機会に。
以上、20世紀はじめ頃の心理学ついてのお話でした。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。