心理学用語
病態水準

user:Lopezda, CC BY-SA 3.0,forWikimediaCommons.
カーンバーグは、精神症状の「重篤さ」を以下のように分類しました。
これは「病態水準」と呼ばれている分類で、精神分析の理論に基づいた分類方法です。

というわけで、今日はこの「病態水準」について詳しく見ていきましょう。
病態水準:3つの評価基準


病態水準では、3つの評価基準で分類分けをします。
現実検討能力

「現実検討能力」とは、現実を正しく認識する能力のことです。

同一性統制度

「同一性統制度」とは、自分の記憶・認知・思考に一貫性を保てる能力を測る指標です。
防衛操作

「防衛操作」とは、欲求不満や不快な衝動に対して適切な防衛機制を用いることができる能力を測る指標です。

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病態水準:3つのレベル


病態水準では、先ほどの能力が「高い」「低い」もしくは「境界に位置する」かという段階の違いを3つのレベルで分類しています。
神経症レベル

「神経症レベル」は、比較的重篤でない症状のレベルです。
さまざまな症状を訴えますが、現実検討能力や同一性は保たれた状態です。

精神病レベル

「精神病レベル」は、比較的重篤な症状のレベルです。
妄想や幻覚が出現し、現実検討能力が侵されています。
人格の解体がみられ、原始的防衛機制が頻繁に用いられます。

境界例レベル

「境界例レベル」は、文字通り2つのレベルの境界に相当する症状のレベルです。
ときに神経症レベルに見えたり、ときに精神病レベルの行動を見せたりと不安定です。

病態水準の注意点
病態水準を理解するうえで、いくつかの注意点があります。
特定の精神症状ではない
病態水準における「神経症」「精神病」という名称は、「症状の重篤さ」を表す用語です。
「特定の症状」の名前ではありません。

積極的に使われてない

病態水準は現在、学術的には積極的に用いられていません。
理由としては、分類基準の「現実検討能力」「同一性統制度」「防衛機制」は、いずれも正確な測定は困難で分類に不確定さが伴うからです。
しかしカウンセリングの現場では、クライエントの症状の重篤さの見立てをおこなう必要があるため、臨床にいおいて重要な視点といえます。
おさらい~病態水準~

最後にもう一度「病態水準」のポイントをまとめます。
病態水準のポイント
病態水準とは、
- 精神症状の重篤さの分類
- カーンバーグがつくった
- 精神分析理論に基づく
病態水準の3つの分類基準は、
- 現実検討能力
- 同一性統制度
- 防衛操作
病態水準の3つのレベルは、
- 神経症レベル
- 境界例レベル
- 精神病レベル
病態水準の注意点は、
- 現在は積極的に用いられてない
- 理由は正確な測定が困難だから
以上、病態水準についての解説でした。
ご参考にさせていただいた書籍
本日がみなさまにとって、すばらしい一日でありますように。
